顔面神経麻痺の経緯とか

顔面神経麻痺と言う病気で、生まれて初めて入院を経験してしまったので、その経緯のまとめ。 ちなみに自分は水疱瘡が原因のハント症候群で、重症の部類という事だったので、ベル麻痺とはたぶん少し状況が違うはず。

(以下は、基本的に自分の経験した内容の話です)

どんな病気?

  • 顔の右もしくは左半分が麻痺して動かなくなる (両側同時になる事があるのかは不明)
  • 凄い端的に言うと、眼球は動くのと、耳も何とか聞こえはするけど、その他の顔面半分の機能はほぼ使えない状態
  • 主な症状(以下は全て、麻痺してる側の症状)
    • 片頭痛
    • 目眩、平衡感覚の喪失
    • 耳鳴りや音のこもり、難聴、耳の腫れ、痛み
    • 首のハリ
    • まぶたの制御不可(目を閉じれない。試合後のボクサーみたいなまぶたになる。目を洗おうと水道水を入れるとめっちゃ痛い)
    • 涙の制御不可(涙が多すぎたり足りなかったりで、目が霞んで見えにくくなる。量が多いと涙が流れてくる)
    • 口の制御不可(口を閉じれない)。物、特に水などを口に含むことが出来ない(歯医者で麻酔した直後みたいな状態)。自作暫定対処方法は、手で口を挟んで水を出ないようにする。食べ物も歯と口の間に詰まるし、まともに喋るのも結構辛い
    • 舌のしびれ、味覚異常
    • 笑ったりするなど、不可。と言うより、笑うような状態は顔面に負荷がかかるらしく、うまく笑えないし、顔が筋肉痛に近い状態になる。後、笑うような顔面の筋肉を動かす行為は、後遺症に発展する可能性があり、控えた方が良いらしい
    • その他、眉毛が動かないとか諸所あるけど、大きいのは上記
    • 後述するウイルスが神経だけでなく皮膚表面に出てくることもあるらしく、そうなると発疹なども併発してかなり酷い状況になるらしい。自分の場合は表面には出てこなかったので、詳細不明
  • 原因
    • 7 割ぐらいはウイルス性と言うか、詳細不明らしい。それまでは体内に潜伏してたけど、体の抵抗力の低下で表に出てきてしまったとか、そういうタイプ。自分の場合は、子供の頃にかかった水疱瘡のウイルスの可能性が高いとの事だった
    • 1 割ぐらいの確率で、脳の腫瘍とかが原因で顔面神経圧迫して同症状が現れることがあるらしい
  • 診てもらう診療科
  • 対処方法
    • ステロイド投与により、神経に作用していると思われる炎症を抑える。投与してすぐに効果出るとか、そういう類ではない(っぽい)。また、ステロイド投与により免疫機能が低下するため、入院必須
  • 発症から回復までの流れ
    • 発症後 10 日ぐらいまで、症状悪化する。その後、数ヶ月ほどかけて、徐々に回復に向かう(らしい)
    • この為、基本的にはすぐ入院して点滴投与を行い、検査・経過観察を 1 週間から 10 日ほど行い、最悪期を脱した辺りで退院して回復を目指す方向になる様子
    • 入院できないような人の為に、点滴投与じゃなくて錠剤で対応と言うのもない事はないらしいが、自分が体験した状況からは、速攻入院して診てもらう以外の選択肢はないように思えた。と言うか、ネットなどで確認する限り、発症後 10 日間に如何に早期に対処出来るかで後遺症の程度も決まるらしいので、錠剤とかの選択肢はありえない気がする
    • 詳しくは分からないが、元の状態まで回復しない事も、それなりの割合であるような話を受けた

退院直後の生活について

  • 退院時に症状が良くなっている類の病気ではないと言うか、状況的には一番悪化しきったタイミングでの退院になる為、退院後も暫くは安静にするのが良いと思われる
  • 入院でまず一週間以上休むことになるので退院後すぐに仕事に戻りたいかもしれないが、上述したように最悪期に退院となり、入院生活で体も弱っているため、少なくとも退院後 2, 3 日は家で安静にした方が良い。退院後も一週間程度ステロイドを処方される可能性があるが、ステロイドを投与している間は免疫力が低下して色々と危険が増しているという状況もあるので、可能であれば、ステロイド投与が終わる一週間後ぐらいまでは安静にしたい
  • どれぐらい最悪な状況かと言うと、例えるなら、熱はないけど 39 度ぐらいの熱が出ているような状態を想像するのが、分かりやすいかも

退院後、暫くの生活について

  • 上述した「主な症状」は、基本的にすぐには緩和せず、数週間以上は続くと考えた方が良い。目が閉じないとか飲食に苦労するのも大変だが、頭痛と目眩、平衡感覚の喪失もかなり厳しく、外歩く時は気をつける必要がある

目に関する対応

目については、上述したように目が閉じない、水道水を目に入れられない、と言う問題がある。以下で対応

  • 目が閉じない問題は、シャワーを浴びた時、タオルで拭く時、寝る時に顕著。中でも、寝る時が一番問題。この問題は、メパッチを使う事で、ある程度緩和できる
  • 使い方は、何とか意識して瞼を閉じる事が可能な状態であれば、瞼を閉じた状態で(両目瞑っても良いので)貼ると、自然な状態で貼れる
  • 症状初期で意識しても瞼が閉じない場合は手で無理やり閉じてから貼るしかないが、この状態だと不自然な状態で貼ることになってしまい、やや危険
  • 医者からは眼帯を勧められたが、目が閉じない状態で眼帯が有効なのか、正直疑問。試した限りでは、瞼が開いてしまい怖くて使えなかった(目に貼るタイプも同様)。なので、家でしか使えないが、メパッチ一択
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  • 水道水が目に染みて目を洗うのが厳しい問題は、水道水ではなくアイボンを使う事である程度緩和できる。アイボンにも刺激が強いタイプから弱いタイプまで色々と種類があるようだが、自分の場合はアイボンd で問題なかった
  • アイボンの方がベターだが、ない場合は水道水そのまま使うのではなく、浄水器があれば浄水器で濾過した水の方が染みないかも(自分の場合はブリタで濾過した水で実験)

参考書籍

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自分のこれまでの流れ

  • 1 日目~4 日目
    • 最初は、顔右半分に関して頭痛や耳鳴り、音のこもりと首のハリの症状が出ただけだった。風邪とは違う症状だとは思ったが、それ故に、病院行って診てもらうと言う意識が最初はあまりなかった。長く続くようならどこか受診しなくちゃいけないかな程度
  • 5 日目
    • 朝起きたら、異変に気づく。目を閉じたつもりが、右目だけ閉じない。また、口も動かしづらい感じ。この時点で、相当ヤバイ状態であると自覚できるようになったので、ネットで症状を調べて、近くの耳鼻咽喉科で受診する。先生からはすぐに顔面神経麻痺だろうとの話を受け、詳しい検査や入院可能な大学病院の紹介をしてもらう。ヘルペスとかのウイルスが原因の可能性もありそうだけど、詳しくは紹介する病院で診てもらってほしいとのこと。また、1 週間から 10 日ぐらい入院が必要になる可能性も示唆される。この時点で顔面の動きに関する点数確認をしてもらったが、正常時 40 点満点中の 10 点ぐらいの動きとの事(この動きチェックは、入院中もずっとやる事になる)
  • 6 日目
    • 紹介してもらった大学病院で受診。顔面神経麻痺で確定。詳しい原因は不明だが、子供の頃に水疱瘡にかかった事があるようであれば、それが今まで潜伏していて、このタイミングで神経の方に出てきてしまった可能性があるとの事。脳神経の方の可能性もあるが、それは MRI で調べないと分からないとの事。重症の部類なので、すぐに入院して点滴投与開始した方が良い旨の話をされ、そのまま、最短でも 1 週間の入院に突入。ステロイド点滴 Max で投与開始
  • 7 日目~10 日目
    • 入院中は、基本的にステロイドの点滴投与。毎日顔面の動きチェックをされたが、最初に目や口が一気に動かなくなった後は、良くも悪くもならず、平行線の状態。先生からもすぐ回復する類の病気ではない事は言われていたので、悪化しなかっただけマシだったと思われる
  • 11 日目
    • MRI 検査を行う。結果は、問題なし。この時点で脳ではなく、ウイルスが原因でしょうということに。また、血液検査結果からは、たぶん水疱瘡のウイルスだと思われるとの事
  • 12 日目
    • 首筋あたりから電気を流して、問題ない側と麻痺してる側の神経の動きの差異を見る検査を受ける。この結果で、問題ない方の 10% 以下の動きしかなかったらまだ退院できないかもとの話だったが、結果としては 40% ぐらいの動きを確認できたとのことで、退院は確定
  • 13 日目
    • 退院。状況的には入院直後とそれほど変わらず、相変わらず目も口もうまく動かせないが、今が底でここから徐々に回復するはずとの事
  • 14 日目
    • 退院後初出勤。入院による体力低下か薬の影響かは分からないが、正直相当辛い。目眩や平衡感覚の欠如、考えもまとまりづらく、凄い大雑把に例えると、38.5 度位の熱があるような感覚。休めるのであれば退院直後は休んだ方が無難だと思った。と言うか、休むべき
  • 15 日目
    • 退院後の出勤二日目。昨日に比べるとかなり辛さは軽減。とは言え、目眩、耳鳴りなどの基本パターンは一緒。再度熱に例えるとこの日は 37.5 度位の熱があるような感覚。後、ぶつけた記憶はないが、気づいたら腕にかなり目立つ痣が出来てた。恐らく、ステロイドの影響かと思われる。昼飯に久しぶりにモスバーガーに食べに行ったら、口が半分開かないとハンバーガーはまともに食えないことが分かって大後悔
  • 19 日目
    • ステロイドの投与最終日。ステロイドの投与が終わったからか、たまたまかは分からないが、少し前に出来てなかなか治らなかった痣が一気に消えた
  • 20 日目
    • 退院後初の通院。この日まで、気づくような回復具合はなし。先生に診てもらったところ、重症の類なので、三ヶ月から半年ぐらいの長い目で様子を見るしかないとの事。2 週間ほどで回復の兆しがある患者もいるそうで、そういう人はリハビリも不要でそのまま回復に向かうらしいが、自分の場合は特に回復の兆候が認められなかったので、リハビリに関する資料をもらった。ちなみに、変なリハビリと言うか動きを行うと、最悪、神経が変な風に繋がってしまうらしい。目が閉じなくて感染とかが心配だったので相談したが、眼帯でも付ければぐらいの回答で、耳鼻咽喉以外の話はあまり反応薄かった・・・。後、この日の顔面の動き診断は、40 点満点中、6 点とのこと。
  • 21 日目
    • 昨日の通院時にリハビリに関する資料をもらったので、この日から顔面のマッサージをなるべくやるようにした
  • 22 日目
    • 一昨日の通院時に目については先生から期待した回答を貰えなかったので、ネットで調べて、メパッチを購入して使用開始。同時にアイボンも使用開始
  • 32 日目
    • この頃になって、ようやく口が完全にではないが閉じるようになってきて、まゆげも微妙に上がるようになってきた。一ヶ月経過して、ようやく回復し始めてる実感が出始める。ただ、耳鳴りや平衡感覚の喪失感は、変わらず
  • 38 日目
    • この頃になると、口もちゃんと閉じて飲料もこぼれなくなり、食事しても食べ物が口に詰まらなくなった。また、耳鳴りも残ってはいるが、無視できるぐらいまで回復した。平衡感覚の喪失や目の乾き、耳の腫れはまだ残っているが、少し前に比べると、かなり回復してきてる実感を得る。寝る時のメパッチもそろそろ不要な感じ。同様に、水道水を目に入れても真っ赤に充血することもなくなって、普通に顔を洗えるようになった
  • 41 日目
    • 退院後二回目の通院。顔面の動き診断で 30 点取れて、前回診断した先生も驚きの急回復具合との事。先生的には、前回ほとんど回復してなかったので、内心ちょっと厳しいかと思っていたとの事。一応、入院時に行った電気を流して神経の動きの差異を見る検査で 3 割位の動きがあったので、神経自体は駄目になっていないはずで、それだけが拠り所と考えていたらしいが、一ヶ月ちょっとでここまで回復すれば、たぶんもう大丈夫でしょうとの事。マッサージについてもここまで回復すればやらなくても回復すると思うとのことだったが、続けてもダメではないとの事。それと、前回の血液検査から、水疱瘡ウイルスが原因のハント症候群でほぼ確定との事。入院時が 10 ポイントで、これがその後倍以上になると水疱瘡ウイルスの可能性が高くなるが、自分の場合は最初の通院時の血液検査で 240 ポイントまで上昇していたとの事。基本的にはもう大丈夫そうとの話になったが、目眩の話をしたら、次の通院時に目眩に関する検査を受けることになった。先生の話では、目眩や平衡感覚の喪失はそこまで多いわけではなく、患者の一割もいないとのことだった。目眩に関する薬も処方してもらった
  • 46 日目
    • 右目のウィンクが出来るようになる。これで、表面上は 8 割方回復した感じ
  • 60 日目
    • 退院後三回目の通院。顔面の動き的には、ほぼ回復してるとの事。この後、迷入再生する可能性はあるか聞いたが、迷入再生は回復まで 4ヶ月以上かかるような人が発生する可能性がある問題で、一ヶ月半ぐらいでほぼ回復した自分は、迷入再生の心配は不要らしい。目眩だけまだ残っているので、顔に電極を付けて光点を目で追いかけたり、耳から冷たい風を入れて無理やり強烈な目眩を起こさせる検査をこの日行ったが、特に異常は見られなかったので、今ある目眩も、暫く様子見で大丈夫でしょうとの事。
  • 86 日目
    • 顔面の麻痺症状については9割方回復している実感があったが、目眩が一向に回復せず、毎日吐き気が続く状態。
  • 87 日目
    • 退院後四回目の通院。顔面神経麻痺の症状については、完治で良いでしょうとのこと。目眩と吐き気が治らない旨を話したところ、目眩が続く患者もたまにいることはいるが、顔面神経麻痺の患者のうち、年に一人ぐらいの割合とのこと。ここまで通院で診察してくれた先生は顔面神経麻痺が専門らしく、同じ耳鼻科に目眩専門の先生もいるらしいので、そちらの先生に診てもらった方が良いかもと言われたので、そちらの診察を依頼。翌日か二週間後になると言われたので、翌日でお願い。
  • 88 日目
    • 通院五回目。初めて、目眩専門の先生に診てもらった。顔面神経麻痺の先生にもやってもらっていた、目に何か覆って、目の揺れ(?)の状態をセンサーか何かで見る機械を使われたが、結果としては、ゴミ(カルシウム)が三半規管に詰まって、目眩と吐き気の症状を発生させているので、これが取れれば治るとのこと。後、この状態自体は、顔面神経麻痺とは直接は関係なく、恐らく顔面神経麻痺の症状が回復するのと入れ替わりぐらいのタイミングで、新たに発生した病気だろうとのこと。肝心のゴミは時間の経過でも取れるらしいが、その場で治療として、頭の後ろを何十回も叩かれた。物理的に耳からゴミが出てくるような話ではないらしいが、後自分で出来る対処法としては、椅子に座って頭を下にして、五分ぐらいそのままの状態を保つことらしい。
  • 101 日目
    • 前回の目眩外来の受診後、自分でもはっきりと違いが分かるほど急激に目眩の症状が改善して、この日までに目眩の症状も7割方治った感じになっていた。出社直後の吐き気は相変わらず続いていたが、20 分ほど座っていれば落ち着くところまで回復していたので、翌日の外来はもう大丈夫かと考えてもいたが、念の為受診することに。
  • 102 日目
    • 通院六回目。目眩の外来は二回目。いつもの機械で診てもらって、まだ少しゴミが残っているとのことで、前回と同様、また頭の後ろを数十回叩かれた。自分でやっていた、一日一回頭を五分間下げる方法も、本当は下を向くだけでは不十分で、逆立ちして頭を真下にするぐらいが一番良いとのこと。時間が経てばたぶん大丈夫とは思うが、目眩が続くようであれば、薬は出せるし、市販の薬でも問題ないと言われたが、そこまで酷くないので薬の処方は断った。次は一ヶ月後に通院の予約となったが、その時までに症状なくなっていたら、もう来なくて良いとのこと。
  • 109 日目
    • この時点で、もう目眩の症状も9割方治った感じ。次の通院はキャンセルで問題ないように思っている。終わってみれば、顔面神経麻痺の発生から顔面の回復まで2ヶ月。目眩も含めた完全な回復まで含めると、4ヶ月弱かかった。けど、当初心配していた神経の迷入再生とかも特に発生せず、良かった。