畑の土作りのための石の除去について

家の敷地などで初めて畑を作って家庭菜園的なことをしようとした場合、まず初めに問題になるのが、土。

それまで畑として使っていなかった土地だった場合、通常、畑として使えるような土の状態ではないはずなので、肥料が足りないとかそういうレベルの話ではなく、石やら何やら、土壌に含まれる土以外のものをまず除去する必要がある。

注意しなければいけないのが、土の上に転がっている、見える部分の石を除いたぐらいじゃあまり意味がないこと。対象のエリアの土が深さ 3, 40 cm ぐらいまでどのような物で構成されてるのか、少なくとも確認ぐらいは必要。

自分の場合

自分の場合、家の敷地に建っていた物置を 40 年ぶりぐらいに壊して、その跡地を畑として使うことになった。

一応、物置を業者の人に解体してもらった時に、跡地の土についても機械で掘り起こしてもらってカチカチの状態からそれなりに耕して柔らかくしてもらったはずなのだが、結果から言うとこれだけじゃ全く駄目だった。

なお、自分は土いじりは素人なので、以下もそれを前提に読んでもらう必要がある。

一番最初に(何も考えずに)やったこと

最初、パット見の印象は、「石が多いな」と言うこと。なので、表面に転がってた石を手で拾って除去した。

この時の装備は、汚れても良いスニーカー+素手と言う今から考えるとアホみたいな組み合わせ。手を真っ黒にしつつ、2 日ほどかけて一応表面上の石は除去したのだが、ほとんど意味がなかった作業だったことに気づくのは半年ほど後の話。

最初に石を除去した後に気づいたこと

表面の石の除去から半年ほど経った後、今後のことを考えて耕運機を買った。で、耕運機で畑を耕そうとしたのだが、刃がめちゃくちゃ跳ねて、まともにかけられない箇所が結構あった。

少し深いところに残ってる石に耕運機の刃がぶつかってたのは分かったが、今後のことを考えると、一度ある程度の深さまで石を全部除去する必要があるなと思ったのが地獄の始まり。

深さ 50 cm ぐらいまでの畑の状況

実際にシャベルで深さ 50 cm ぐらいまで掘ったところ、石が出てくるどころの騒ぎではなく、想定外のものが大量に出てきた。代表例としては、以下。

  • 数十センチの岩盤みたいな石
  • 木の根っこや幼虫、動物の糞など
  • 数十センチのアスファルトの塊
  • ガラス瓶や皿(?)など陶器の破片

掘って出てきたものの一例
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でかい石や動物の糞ぐらいは想像できたんだけど、後は正直想定外。今まで物置が建っていた場所とは言え、土の中にアスファルトの塊やガラスや陶器が埋まってるとか、当初の想定が甘すぎた。 土の表面の石を除いた作業は、ホントに無駄だった。

本題 (実際の作業編)

深さ 50 cm ぐらいまでの不要物を除去するにあたって使用した道具・装備

  • シャベル
  • ふるい (とフルイ台)
  • 軽作業用手袋
  • 農作業用長靴

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それぞれ詳細に説明する。

  • シャベル

    土を掘る、掘った土を移動する、土の中の石を砕く、など諸々の作業に必須。硬めの土を掘ったり石を砕く必要があるので、先は平らじゃないタイプが使いやすいと思われる。

    自分が使ったのは何十年も前のやつなので上のとはもちろん違うけど、たぶんオーソドックスなやつ買っておけば何も問題ないはず。

  • ふるい (とフルイ台)

    掘り返した土は石などの異物を除いて、土のみの状態にする必要があるが、この作業にふるいが必須となる。 また、ふるいは土を入れて振る必要があるが、振る回数が多くなると自分の手で持って作業するのは体がヤバいことになるので、置いたまま振るえるフルイ台も必須になる(数百回以上フルイをかける状況を想像してもらいたい)。

    また、フルイの大きさも振る総回数に直結するので、かなり重要。自分は上のフルイの 30 cm 版を買ったが、正直、小さかった。 同じフルイで 37 cm のタイプもあるので、今買うなら絶対にそっちを買う。

    アミは上記のフルイだと細かさによって 3 種類のアミが付いてくるが、今回の作業には荒目のアミしか使わない(荒目でもまだ細かいぐらい)。

  • 軽作業用手袋

    手袋は色々なタイプがあるので、何もないと軍手でも良いかと思ってしまうかもしれないが、お勧めできない。

    前述したように、土の中にはただの石ころだけではなく、ガラスや陶器の破片や動物の糞などが含まれる可能性があり、これらから手を完全に守れる、且つ、作業の妨げにならない付け心地の手袋が必要になる。 軍手の場合、ガラスなどからはギリギリ守れるかもしれないが、掘った土は基本的に湿っていて、これに対して長時間作業を行うと、軍手のように水分が通る手袋だと最終的に手が土だらけになる可能性がある。

    また、薄いビニール手袋などもガラスの破片などが心配なので、水分やガラス片などを通さず、それでいて作業がしやすい軽作業用手袋の使用を推奨する。

    上の軽作業用手袋は実際に今回使ったが、ちゃんと手を保護してくれて作業もしやすかったので、お勧めできる。 ただ、サイズ等も含めて、出来るならホームセンターなどで実際につけて自分に合うやつを買うのが良いと思う。

  • 農作業用長靴

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    手袋よりもハードル上がるが、今回のような畑作業をするには、農作業用の長靴を買うのをお勧めする。 ふかふかの土に足が沈もうが、土が湿り気帯びてようが、全く気にせず作業を行うことが出来る。

    一点注意が必要な点としては、この長靴については、必ずホームセンターなどで色々と試し履きをしてから購入することを強くお勧めする。 一口に長靴と言っても、素材の硬さ・伸縮性や、靴底の頑丈具合など、普通の靴以上に色々な要素があり、単純にサイズだけでは絶対に決められない。

実際の作業の注意点

作業は、大きく分けて以下の流れになる。

  1. 土を掘る
  2. 掘った土をフルイにかけ、異物を除去した土を掘った場所に戻す

これだけだと簡単なように見えるが、これを合わせて 20 時間 30 時間やる必要がある場合、極力作業を最小化させないと、体と精神が保たない。

上記の工程をもう少し細かくすると、以下になる。

  • 土を掘る
    1. 土を掘る
    2. 掘った土をどこか空いている場所に移動する
  • 掘った土をフルイにかけ、異物を除去した土を掘った場所に戻す
    1. ある程度のエリアの土掘りが完了したら、掘った場所にフルイをセットする
    2. 掘り出して山になった土をフルイに移し、フルイをかける
    3. フルイに残った石などを、畑以外の空き場所に移動する

各工程ごとの注意点を以下に説明する。

土を掘る

言葉通り、土をスコップで掘るだけなのだが、土の状況によってはこの作業が一番力と体力を使うことになる。

土だけだったら恐らくそこまでではないのだが、上述したように、数十センチの岩盤やガラスや陶器などが土中に存在する場合、一気にハードルが高くなる。 岩盤の場合、場合によっては砕く必要があるし、ガラスや陶器の場合は、下手に砕くと細かい破片が散らばってその後の作業が大変になる。

一番の問題は、土の上からだと、どこにどの程度の大きさの物体が存在するのか把握できないことにある。

石ころぐらいであれば何も気にする必要ないが、例えば硬い物体にぶつかってスコップが入らなくなった場合、この物体を除去するには、力で割るか、もしくは丸ごと取り出す必要があるが、大きさや硬度によっては割るのが困難なこともあるし、丸ごと取り出すにしても上に土が被ってる状態だと、大きさの判断が出来ないのでこれも厳しい。

この状況に対処するためお勧めしたい方法が、上から面単位で掘っていく方法ではなく、一度一番深いところまで土を掘り出した後、横から土を切り崩していく方法。

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上の写真だと、ちょっと分かりづらいが、赤の掘ったエリアの側面を拡張する形で、青のラインを上から掘って、赤の方に土を切り崩すようにする。
こうすると、仮に青のエリアで大きな岩や陶器などが出てきた場合、それらを無理やり割ったりせず、既に掘ってある赤側の側面から取り出して除去できるようになる。

もしかしたらもっと良い方法あるのかもしれないが、上からがむしゃらに掘るよりは、こちらの方が凄い効率が良かった。

掘った土をどこか空いている場所に移動する

これも言葉通りの作業だが、注意が必要な作業。

「掘った土を移動する」と書いたが、掘った分だけこの移動作業が発生し、且つ、この後逆に戻す作業での移動も発生することを考えると、可能な限り移動距離が短い場所に土を盛れるのが良い。

理想としてはゼロ距離の場所が良いが、現実には難しいと思うので、掘った場所から二歩、出来れば一歩圏内に土の移動先を確保したい。三歩以上必要な場所になると、恐らく体が死ぬと思われる(人によるとは思うけど)。

この移動先に関しては一時的に盛っておければ良いので、例えば作業予定のエリアを縦に二分割して、片方ずつ作業を行い、片方の作業時はもう片方のエリアを移動先にするなどして、要件を満たすことも出来ると思われる。

ある程度のエリアの土掘りが完了したら、掘った場所にフルイをセットする

特記事項なし。

掘り出して山になった土をフルイに移し、フルイをかける

土の移動に関しては掘った時の懸念点と同様。土をフルイに盛った後は振るうだけだが、注意点がある。

これも、対象の土がどのような構成となっているかにもよるが、基本的には、「瓦礫や陶器など、菜園の土の要素として絶対に不要な物体のみ除去する」のが目的となる。 当たり前のようにも聞こえるが、フルイにかけて残った物体の中には、「粘土質の土の塊」や、「非常に硬い土の塊」が結構存在し、それらも単純にフルイで残った物体として除去してしまうと、最終的に畑に残る土が非常に減ってしまう恐れがある(自分の場合は最終的に 2 割前後減った)。大量に減った場合、恐らく最終的に土の補充などが必要になると思われる。

これを出来るだけ防ぐには、「土の塊」は除去しないで畑に戻す必要があるのだが、石と土の塊の判別がなかなかに難しい。 また、小さい塊も含めていちいち個別に確認するといくら時間があっても足りないので、自分の場合は、ある程度フルイに塊が残ったら、上から手のひらで押しつぶすように力を加えて、土の場合は潰す作業を行った。 石のように硬い土の場合はこれでも潰れずに残ってしまうが、この辺りは妥協が必要。 ある程度の大きさの塊については、除去する前に両手で折れるか試すぐらいはした方が良い。要は、労力と時間と残る土を天秤にかけて、作業を行う。

フルイに残った石などを、畑以外の空き場所に移動する

この作業については土の移動同様、移動先の距離が重要になるが、それ以上に問題になるのが、「除去した異物を置く場所の確保」。 掘った土の一時的な移動と異なり、この異物の山に関しては一定期間(もしくはずっと)そのままになる可能性が高い(すぐに捨てる算段がついてるとかだったら別だけど)。

畑以外である程度の量を置けるスペース、且つ、畑との距離が離れていない場所が良いが、こればっかりは畑の配置などにもよるので、それ次第だとしか言えない。 土の状況にもよるが、スペースとしては掘る土の量の 2 割前後は置ける場所を確保したい。

上記作業方法でかかった時間

対象の畑の広さ: 1.6 m x 4.6 m

これを 4 分割して、それぞれ 50 cm ほどまで掘り返す作業を行った。1 エリアの作業にかかった時間は、およそ以下。

作業 時間
1 土を掘る 2-3 時間
2 掘った土をフルイにかけ、異物を除去した土を掘った場所に戻す 4-5 時間

作業時間だけ見ると一日で出来そうな気もするが、1 は非常に重労働なので、よっぽど体力に自信がない限り、1 で一日終わる。 2 は 1 ほど力作業ではないが、こちらは逆に時間がかかるので、二日ぐらいかかる。

結局 3 日ぐらいかかる感じなので、それが 4 エリアで、合計 12 日ぐらいはかかったと思う(ちゃんと数えてはいないけど)。

最後に

当初は全エリアで 2, 3 日ぐらいあれば終わるかなと思っていたが、途中から、業者にでも頼んで土を全入れ替えしてもらった方が金かかったとしても良かったのではと思うぐらいには、大変だった。

自分は 12 月と 1 月にやったので寒かったが、これが夏場だと、もっと体力保たなくて、地獄だったと思われる。 とにかく重労働且つ時間かかる作業なので、作業しやすい時期に作業するのも重要。 それと、土を掘ったりフルイにかけたりするということもあって、作業は晴天の日が続いて、土が乾いてる時にした方が良い。