Google Nest Cam バッテリー用ソーラーパネルのレビュー

Google Nest Cam の定期的な充電作業をなくすためにソーラーパネルと雨樋取付用オプションを買ったので、そのレビュー。

(Nest Cam 本体のレビューはこちら Google Nest Cam の使用感レビュー - poke_dev’s blog)


Index

買った製品

製品の主な特徴 (ソーラーパネル本体)

レビュー

肝心の使用感だが、いくつかに分けて評価する必要がある。下記項目に分けて使用感を記載する。

ソーラーパネル本体 (発電性能)

ソーラーパネル本体は発電性能ぐらいしか感想を言えるところがないのだが、発電性能には満足している。

製品の仕様上は、晴天の下であれば 5 時間で 2-3% の充電が行われると記載されているが、自分が計測した限りでは 11 月の一日快晴の下で 8-46% ほど充電された。日によって充電の幅がありすぎるが、いずれにしてもスペックよりは大幅に発電力がある印象。

長期間の評価はまだ出来ないが、この充電状態が継続されるのであれば、数週間全く晴れないなどの状況にならない限りバッテリー切れの状態には陥らないと思われる。

(2024/2/22 追記) 一年以上使っているが、一度もバッテリー切れの状態にはなっていない。極たまにバッテリー状態が確認できるが 60% を下回っているようなことは一度もなかったので、天候に左右されてバッテリー切れが発生するようなことはないと思われる。

なお、ソーラーパネルなので日光が良く当たる南向きに設置する必要があるのは当たり前だが、角度は 30 度ぐらいにすると、平均的に日光を受けやすいらしい (地域や季節なども影響するので、一概には言えないが)。

ソーラーパネルの取付について

本体の発電性能には満足していると書いたが、ソーラーパネルの取付については問題になる可能性が大きい。

これは Nest Cam 本体にも言えることだが、どちらの製品も基本的な取付スタンスは「マウント用の部品をネジにより壁等に固定し、そこに本体を取り付ける」となる。

要はネジを打ち込める木製の取付箇所が必要になるのだが、日本の住宅環境でこれを躊躇なく実行できる環境は、正直多くないと思われる。
ソーラーパネルを買うということは Nest Cam 本体の取付は行えている状況と思うが、本体の近く (4m 以内) で太陽光が十分に当たる場所にこのマウントを取り付けるのは、ある意味本体より難儀するかもしれない。


(写真右側のマウント部品を壁にネジで固定する必要がある)

Nest Cam 本体と同じく、付属品としては木製の壁に打ち込むネジ以外に、コンクリやブロックにドリルで穴を開けてそこにネジを打ち込む用の部品もついてはいるが、一般の人がこれを使うのは更にハードルが高いと思う。

自分の場合は後述する雨樋に取り付けるオプションを購入して、雨樋に取り付けた (ドリルやネジは不要)。

ソーラーパネルと接続した際の Nest Cam 本体の挙動

上述の 2 点は買う前に何となく想像がつくので良いのだが、この製品の問題と言うか難題は、ここから。

ソーラーパネルと Nest Cam 本体はもちろんケーブルで接続するのだが、この際、Nest Cam 側で正常にソーラーパネル接続が認識されない事が自分の場合はあった。 と言うか、自分の場合は最初の 2 か月ほぼこの状態が続いた。

Nest Cam 側の「電池」の状態としては、自分が知る限り以下のパターンに分かれる (Google Home App の「電池」画面で確認できる状態)。

状態 説明
電池 電源未接続
接続中 電源に接続中
太陽光 ソーラーパネルに接続中 (発電状態かは影響しない)


正常な状態であれば接続状況に応じてどれか一つの状態のみ表示されるはずだが、ソーラーパネルのケーブルを接続した場合、上記全ての状態が表示される可能性がある (少なくとも自分の場合はそうだった)。 Nest Cam 側の挙動としてはこの「電池」の表示状態に応じてカメラの挙動が変わるようで、具体的には以下のような挙動となる。

状態 カメラの挙動 電力消費
電池 検知設定に応じた挙動となる
接続中 検知設定等は無視され、カメラに映るエリア全てがカメラ起動のエリアとなる。録画時間も通常と比較し延長される
太陽光 検知については「電池」の状態と同じ挙動になる
給電はバッテリー残量が 70% 以下の場合のみ行われる


「接続中」状態の場合、カメラの復帰感度が非常に高くなり、バッテリーの消費が激しくなる。具体的には一日で 2, 30% 程度の電力消費が発生した事が自分はあった。この状態でも電源に接続中であれば問題ないと思われるが、ソーラーパネルを接続している場合は給電が追いつかず、充電されないどころかあっと言う間に電池がなくなる事態になる (通常一か月以上保つような場合も、数日程度でバッテリー切れになる可能性がある)。

ソーラーパネル接続時に「接続中」と表示される場合はアウトなので (誤認識の問題が発生している)、「太陽光」と表示されるまでケーブルの抜き差しを試してみる必要がある。その際、端子の汚れを拭き取るなども行っておく。なお、たまに「電池 (?状態も含む)」表示されることもあるが、これは恐らく一時的な表示で、許容できる。 「太陽光」表示されたら、その後も何度か確認してみて、「接続中」と表示されることがないか確認する。一度でも「接続中」と表示されたらケーブルの抜き差しを再度行う。

また、上述したように、誤認識の問題が発生している場合は「接続中」と表示される以外にも以下のような挙動が発生するので、これらの状態が発生していてもアウト。

  • ソーラーパネル未接続時と比較し、カメラの復帰感度が明らかに良くなっている (遠くの動きまで検知して起動する、対象物がカメラの範囲に入った瞬間に起動する、など)
  • ソーラーパネル未接続時と比較し、動画の記録時間が明らかに長くなっている (既定だと最大 30 秒)

何度ケーブルの抜き差しを行っても「接続中」と表示されてしまう場合、自分では他の対策方法が思い浮かばないので、必要に応じてサポートに問い合わせるなどしてください。

ちなみに自分の Nest Cam のソフトウェア バージョンは、2022/12/11 時点で nq-user 1.65 OPENMASTER 326080 となっている。2022/11 に見た時は nq-user 1.63 OPENMASTER 319576 だったので、自動でアップデートはしている様子。ソフトウェア バージョンによってこの辺りの挙動が変わるかは不明。

Google Home App (Android アプリ)

Nest Cam がソーラーパネルに接続されているかなどは Google Home App で確認することになるが、正直、相当イケてない。 自分の場合は、「ソーラーパネル接続した時の情報なんだし、毎時の発電量とかアプリで見れるんだろうなぁ」とか勝手に期待をしていたが、実際は全く違っていた。

Google Home App で確認できるのは、設定画面から見れる電池の状態が「太陽光」と表示されることで、ソーラーパネルに接続されていると Nest Cam が認識しているかの確認のみ。 また、どうしてそんな仕様にしてしまったのかは分からないが、「太陽光」表示の場合は、バッテリー残量が 20% 以下にならない限り現在のバッテリー残量が表示されなくなる (ソーラーパネルに接続していなければバッテリー残量は常に表示される)。 バッテリー残量が表示されていない状態でどうしても今の残量を知りたいのであれば、ケーブルを一時的に外す必要がある。

バッテリー残量 アプリ上の表示
100-21%
20% 以下


その他、「ライブ」画面を表示した場合の挙動も変わる。ソーラーパネルが接続されていない場合は「ライブ動画」ボタンをタップするまではバッテリー残量が表示されているだけだが、ソーラーパネル接続時は常にライブ動画を表示するようになってしまう。これは仕様らしく、元の挙動に戻すようなオプションも用意されていない (最初はこのせいでバッテリーが異常に消費されているかと思っていたが、電力消費問題とこの挙動自体はあまり関係ないようなので、あまり気にせずアプリがそういう挙動に変わってしまったと諦めるしかない)。

(番外編) 2-in-1 雨樋マウント

ソーラーパネルの取付の項目に書いたように、ソーラーパネル取付用に付属しているマウントを使った設置は、かなりハードルが高い。 自分の場合も最初はどうにかなるかと思っていたが、実際に取り付けを試してみると設置に適した場所がほぼないと言うか、失敗覚悟でドリルで壁に穴を開けて設置するしか選択肢がなかった。 そのため、別途オプションで売られている雨樋に取り付ける用のマウントを購入して、これを使うことで満足のいく設置が行えた。

雨樋用ではあるが、ノブスクリューを挟む場所があれば恐らく雨樋と同じように取り付けられるはず。 ちなみにこの商品、ソーラーパネルと Nest Cam 本体を同時に装着出来る 2-in-1 仕様となっている。自分の場合 Nest Cam 本体は既に設置済みだったのでソーラーパネルの取付だけ行えれば良かったのだが、オプションのマウントはこの商品しかなかったので仕方なく買った経緯がある (何でこんな追加出費をしなきゃいけないのと言う思いはあるけど、ないよりはマシ)。

一点注意点として、この製品は各パーツ毎に分かれているので初めに自分で組み立てる必要があるのだが、これが自分は相当難儀した (途中で諦めそうになった)。 具体的には (英語の) 説明書を見る限り、大・中・小のネジが各 2 つずつ付属しており、小のネジ 2 つを使ってパーツ間の固定を行うと記載されていたのだが、そもそも小のネジが 1 つしか付属してなかった。 ただ、色々試したところ、たぶん説明書が間違っていて(?)、説明書に記載されているパーツ間の固定には中のネジ 2 つを使い、且つ、小のネジは横から固定するための穴に使うことで、結果的にはうまく組み立てることが出来た。

まとめ

Nest Cam との接続がうまく行ってくれさえすれば、期待するノーメンテナンス充電が行える (本来はそれが当たり前なんだけど)。

ただ、自分の場合は 2 か月近くうまくいかず、こんなの不良品だろと思いながら Google のサポートとやりとりを続けて、投げ捨てそうになった直前でたまたま(?)うまく認識されるようになった経緯があるので、こんな不安定さだと正直他の人にお勧めとかは出来かねる。

認識がおかしい場合、自分が試したような方法でうまく認識されるのであれば良いが、それでもうまくいかない可能性はあると思うので、可能であればまずはソーラーパネル本体だけ買って、期待するような充電が行えるか確認してから雨樋マウントなどを追加で購入した方が無難かと思われる。

また、上述したように Google Home Apps の作りは必要最低限レベルなので、アプリで発電量を確認したいとかそういうのを期待してはいけない。むしろ今まで確認できていたバッテリー残量が非表示になったり、ライブ画面が強制的に常時ライブ表示状態になったり、アプリの使い勝手は悪くなると思った方が良い。Google としては、ソーラーで常に充電されてるんだからバッテリー残量とか分かる必要ないよね?バッテリー気にする必要がないんだから常にライブ表示した方が手間ないよね?みたいなことを言いたいのかもしれないが、ユーザー的に思うところがあっても受け入れる以外に方法がない。

などと色々書きましたが、「正常に動く」と言う前提であれば、一番の目的である「毎月充電のためにカメラ本体を取り外し、再度取り付ける作業からの脱却」は達することが出来るので、(正常に動く前提で) 個人的にはお勧めです。